鍼灸治療の基本となる「八綱病症」とは?|表裏・寒熱・虚実・陰陽の考え方をやさしく解説|伊勢崎市のくにさだ鍼灸整骨院
くにさだ鍼灸整骨院の飯島です。
東洋医学の二大柱の一つである「鍼灸治療」では、まず病の位置・性質・気の状態を見極めることから始まります。
これらを総合的に分類したものを「八綱病症(はちこうびょうしょう)」と呼びます。
八綱とは次の4組の対立概念です。
表(ひょう)・裏(り)
寒(かん)・熱(ねつ)
虚(きょ)・実(じつ)
陰(いん)・陽(よう)
八綱病症とは
「八綱病症」は、舌診・脈診・腹診などの観察を通して、
病気の位置・性質・気の盛衰を判断するための古来の診断法です。
当院では、主に**腕の脈(寸口脈)**を用いた脈診を中心に、
身体の状態を「陰陽・虚実」のバランスから診ています。
表裏(ひょうり)について
表証(ひょうしょう)
体表面に近い病(皮膚・筋肉など)を指します。
風邪の初期症状──悪寒、発熱、頭痛、関節痛などが代表です。
脈は**浮脈(ふみゃく)**で、軽く触れると感じますが深く押すと消えます。
裏証(りしょう)
身体の内部、特に臓腑(肝・心・脾・肺・腎)に関わる病です。
脈は**沈脈(ちんみゃく)**で、深く押して初めて感じるのが特徴です。
寒熱(かんねつ)について
熱証(ねっしょう)
体が熱に傾いた状態。脈が速く、舌が黄色く、顔が火照り、口渇など。
熱は上昇しやすいため、顔や上半身に症状が出やすい傾向があります。
寒証(かんしょう)
体が冷えに傾いた状態。脈は遅く、手足が冷たい、下痢しやすいなど。
寒は下降しやすく、下半身に症状が出やすいのが特徴です。
虚実(きょじつ)について
虚証(きょしょう)
正気(せいき:生命エネルギー)が不足している状態。
疲れやすく、声に力がなく、体力が弱い印象。
実証(じっしょう)
邪気(じゃき:病を起こす力)が優勢で、体に余分なエネルギーが滞っている状態。
体力気力ともに旺盛で、怒りっぽい、顔が赤いなどの傾向があります。
陰陽(いんよう)について
最後に、これら四組の概念を総括するのが「陰陽」です。
陰:裏証・寒証・虚証
陽:表証・熱証・実証
陰陽は、すべての病理を統合的に捉えるための東洋医学の根本的な概念です。
体が陰に傾けば寒・虚・内向的な状態、
陽に傾けば熱・実・外向的な状態を示します。
鍼灸治療は、こうした八綱病症によって「今の体がどちらに偏っているか」を見極め
不足しているエネルギーを補う(補法)か、余分なエネルギーを抜く(瀉法)かを判断します。
これが、東洋医学における「根本治療(ほんち)」の基本原理です。
