第6回 黄帝内経素問 上古天真論篇 ― 例外的な長寿者 老いても子をもうける人の秘密
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導入 ― 規則から外れる人々
『黄帝内経』は、人の体は男女それぞれ七年・八年の周期で変化すると述べています。
しかし現実には、その規則から外れる人もいます。
例えば、年老いてもなお子をもうけられる人。
これは通常のライフサイクルでは説明できない「例外的な長寿者」です。
黄帝はこの不思議について岐伯に問いかけました。
岐伯の答え ― 精気の豊かさ
岐伯は答えます。
「これは、生まれつき精気を多く授かり、しかも養生を正しく行ってきた人だからである」と。
つまり、特別な体質と正しい生活習慣が合わさることで、通常の寿命や生理の枠を超えることができるのです。
生まれつきの資質 ― 先天の精
東洋医学では、生まれながらに親から受け継いだ精を「先天の精」と呼びます。
これは体質や生命力の土台であり、人によって差があります。
- 精が豊かな人 → 成長や生殖力が旺盛で長寿になりやすい
- 精が少ない人 → 疲れやすく、病気にかかりやすい
先天の精は「遺伝的な体質」とも言えるでしょう。
養生による後天の精
一方で、食事や生活習慣によって養われるのが「後天の精」です。
規則正しい生活、バランスの取れた食事、節度ある性生活などによって精気は養われます。
先天の精が豊かであっても、無理な生活を続ければ精は失われてしまいます。
逆に、先天の精が少なくても、養生によって後天の精を補うことは可能です。
例外的な長寿者の条件
老いても子をもうけられる人は、次の条件を備えていると考えられます。
- 先天的に精気が豊か
- 若いころから養生を守って精気を消耗しなかった
- 心身の安定を保ち、ストレスに負けなかった
つまり、体質と生活の両方が整ったとき、例外的な長寿や生殖能力の維持が可能になるのです。
現代に活かす視点
- 遺伝や体質は変えられないが、生活習慣は自分で整えられる
- 食事・睡眠・休養を整え、後天の精を補うことができる
- 精神を安定させ、ストレスを減らすことが精気を守るカギになる
「例外的な長寿者」は特別な存在ですが、その秘訣は現代人にも応用できる普遍的な知恵です。
まとめ
例外的な長寿者は、先天の精が豊かで、かつ養生を守ったことで精気を保ち続けた人である。
【過去の回一覧】
第1回:古代人はなぜ長寿だったのか?
第2回:古代人と現代人の違い
第3回:養生の基本原則
第4回:女性のライフサイクル 七の倍数