夜間の眠りが浅い方へ ― 鍼灸の視点から考える睡眠と養生
伊勢崎市国定町で鍼灸整骨治療院を開業しております、くにさだ鍼灸整骨院の飯島です。
今回は「夜眠りが浅い」「寝ても深夜に目が覚めてしまう」といったお悩みをお持ちの方に向けて、鍼灸の視点を交えて詳しくお話ししていきます。
現代社会と睡眠リズムの乱れ
本来、人間は日が沈めば自然と眠りにつき、日の出とともにすっきりと目覚めるのが理想とされています。しかし、現代の私たちの生活はそう簡単にはいきません。
残業や夜勤、24時間営業の職場、さらには人と接する仕事によるストレスなどが加わり、眠りのリズムは乱れやすくなっています。
近年は特にスマートフォンやタブレットの普及によって、就寝前につい画面を見続けてしまうことも多いのではないでしょうか。明るいブルーライトや情報刺激は脳を覚醒させ、深い眠りを妨げてしまいます。
こうした生活習慣の積み重ねが「眠りが浅い」「途中で目が覚める」「休んでも疲れが取れない」といった不眠傾向を強めていきます。
自律神経の乱れと「気だるさ」
夜勤やシフト勤務を続けていると、体内時計が乱れ、自律神経(交感神経と副交感神経)の切り替えがうまくいかなくなります。
その結果、休日にゆっくり休もうと思っても体がうまくリズムに乗れず、結局「だるいまま」「眠れないまま」週末を終えてしまうことも少なくありません。
この「気だるさ」とは、鍼灸学でいうところの「血(けつ)の不調」に関わることが多いと私は考えています。血の流れが滞ることで、体の隅々まで栄養が届かず、疲労感や重だるさにつながるのです。
東洋医学における「肝」と睡眠
鍼灸でいう「肝(かん)」は、西洋医学の肝臓とは異なり、血の浄化や流れの調整を担う機能概念です。
この「肝」は夜の時間帯にこそ大きく働いてくれると考えられています。つまり、日没から夜明けまでの睡眠時間に、日中に汚れた血をきれいにし、体全体に行き渡らせる役割を果たすのです。
深夜の暴飲暴食や寝しなの深酒は、この「肝」の働きを大きく妨げます。その結果、翌日の強い眠気や倦怠感、慢性的な疲労につながってしまいます。
また、長期間にわたる薬の常用も肝臓や腎臓に負担をかけ、体の自然な回復力を弱めてしまうことがあるため、必要であれば主治医に相談しながら見直していくことも大切です。
鍼灸によるアプローチ
当院では、不眠やだるさを訴える患者様に対して、肝の働きを整えるツボや自律神経の調整を目的とした施術を行っています。
例えば、
- 太衝穴(たいしょうけつ) … 気血の流れを整え、肝の働きを助ける
- 曲泉穴(きょくせんけつ) … 血の巡りを改善し、体をリラックスさせる
- 顖会穴(しんえけつ) … 頭部の緊張を和らげ、安眠を促す
これらのツボを組み合わせることで、夜間の浅い眠りや中途覚醒、慢性的なだるさの改善を目指します。
まとめ
夜の眠りは単なる休息ではなく、翌日の活動を支えるための大切な準備時間です。
生活習慣の見直しとともに、鍼灸による体質改善を取り入れることで、自然な眠りとすっきりとした目覚めを取り戻すことができます。
群馬県で「眠れない」「不安感が強い」「疲れが取れない」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ伊勢崎市国定町のくにさだ鍼灸整骨院にご相談ください。