【解説】「座ると痛い」「お尻から太ももがしびれる」「冷えるし、立っているのが辛い」、これって坐骨神経痛かも?

「座ると痛い」
「お尻から太ももがしびれる」
「冷えるし、立っているのが辛い」
「体をかがめると痛みが強くなる」
「刺すような痛み、締め付け感がある」
これらは坐骨神経痛の代表的な症状です。
しかし、患者さんが訴える言葉が似ていても、座骨神経痛の症状と原因は、お一人おひとり異なります。だから、痛みの取り方も、一人ひとり違うのです。
目次
1.坐骨神経痛の症状

(1) 坐骨神経症の主な症状
① お尻や太もも、ふくらはぎ、足にかけての痛みやしびれ
② 焼けるような痛み、刺すような痛み、締めつけ感
③ 冷感や張り
④ 長い時間立っているのが辛い
⑤ 腰を反らすと下肢に痛みやしびれを感じる
⑥ おしりの痛みが強く、座り続けるのが困難
⑦ 歩くと下肢に痛みが出るため歩けなくなるが、休むと歩くことができる
⑧ 体をかがめると痛みが強くなる
坐骨神経痛は、どのあたりがお尻から太股を通り足先まで至る長い神経系統が障害されることで起こります。症状は脚の一部分だけに強く感じることもあれば、脚全体に強く感じる場合もあります。
(2) 坐骨神経痛の原因となる疾患
坐骨神経痛の原因となる疾患として、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどが知られています。
① 腰痛や下肢の痛み、痺れなどの症状を感じられたら整形外科に行けば、投薬で痛みを緩和する。もしくは、手術を選択することになるかも知れません。
② ペインクリニックに行けば、痛む箇所やその周辺の神経に局所麻酔薬を注射する神経ブロックを中心に、電気療法やハリ治療、漢方薬、薬物療法、理学療法などを併用しながら治療してくれます。
私たちは、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアになった原因を探し、日常生活での姿勢改善や体の使い方を工夫してもらうことで、手術、投薬、局所麻酔などに頼らない痛みの取り方。そして、再発しないような取り組みをしています。
2.坐骨神経痛とは何か?

(1) 坐骨神経痛の基本的な定義
坐骨神経痛とは、主にお尻から尻、ふくらはぎ、そして足にかけて広がる痛みやしびれを伴う症状を言います。
坐骨神経は人間の体で最も大きな神経で、腰の脊椎から足まで伸びており、日常生活において非常に重要な役割を果たします。この神経が圧迫されたり、刺激を受けることで、痛みやしびれのような症状が現れます。
(2) なぜ「座ると痛い」「しびれる」症状が現れるのか?
坐骨神経痛の主な原因の一つは、坐骨神経が圧迫されることです。この圧迫は、以下のような状態で見られることが多いです。
① 長時間の座位:デスクワークや運転などで、長時間座っているとお尻に負担がかかり、坐骨神経を圧迫します。
② 姿勢の悪さ:猫背や腰を丸めた姿勢を続けることで、坐骨神経への負担が増大します。
③ 椎間板ヘルニア:背骨の椎間板が変形し、坐骨神経を圧迫することで痛みやしびれを防ぎます
これらの圧迫や負荷により、神経が刺激されると、「電気が走るような痛み」や「しびれるような感覚」といった症状が現れます。
(3) 坐骨神経の役割
① 坐骨神経は、人体で最も太く運動機能と感覚機能の両方において重要です。
② 運動機能の役割
坐骨神経は、下半身の筋肉に運動指令を伝達する神経信号を送ります。具体的には、次のような動作を支えています。
- 歩行や走行:足を上げ、前に進むための動きをサポート
- 膝の曲げ:脚の裏側にあるハムストリングスなどの筋肉を動かして膝を曲げる
- 足首や足指の動き:足首を動かすことで、足元を動かす役割を担い、バランスを取ったり、足を持ち上げたりします。
坐骨神経に圧迫や損傷が起こると、これらの筋肉を正常に動かすことが難しくなり、動作に痛みや制限が生じます。
③ 感覚機能の役割
坐骨神経は下半身の皮膚の感覚を脳に伝える役割も果たします。
お尻や骨、ふくらはぎ、足の皮膚からの触覚、温度、痛みなどの情報を脳に送り、体の状態を把握させます。
たとえば、坐骨神経が正常に機能している場合、足がどこにあるか、どんな姿勢でいるのか?意識することができますが、神経が圧迫されると、これらの感覚が機能せず、しびれやチクチク感、燃えるような痛みとして感じられるようになるのです。
3.なぜ、坐骨神経痛になるのか?科学的な坐骨神経痛の研究

坐骨神経痛は、坐骨神経が多少の原因で圧迫されたり、炎症を起こしたときに発生します。この圧迫や炎症によって、神経の信号が正常に伝わらなくなったり、痛みやしびれ、筋力低下などが起こります。
(1)神経圧迫の原因
① 椎間板ヘルニア:背骨の間にある椎間板が外側に紹介され、坐骨神経を圧迫することで痛みが発生します。これは、最も一般的な坐骨神経痛の原因です。
② 脊柱管狭窄症:脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されることで痛みが生じます。
③ 梨状筋症候群:お尻にある梨状筋が坐骨神経を圧迫し、痛みやしびれを保ちます。
(2)神経の炎症
坐骨神経に炎症が起こると、痛みが発生するだけでなく、神経の周囲が敏感になり、軽い刺激でも強い痛みやしびれを感じることがあります。間違った感覚信号が脳に伝わるためです。
4.坐骨神経の損傷による影響

坐骨神経が損傷すると、体にさまざまな症状が現れます。具体的には、以下のような影響が考えられます。
① しびれ:坐骨神経が圧迫されると、神経が正しく感覚を伝えられなくなる、足やふくらはぎしびれが起こることがあります。
② 筋力低下:坐骨神経が損傷すると、足やふくらはぎの筋肉に十分な神経信号が失われ、筋力が低下
することがあります。
③ 歩行困難:坐骨神経痛が重くなると、足に力が入らない、痛みで足を動かせないなどの症状が出て、歩行が困難になることがあります。
このように坐骨神経痛は、生活の質を大きく決めるため、正しい治療とケアが重要です。
5.座骨神経痛初期の対策と予防方法

坐骨神経痛の初期症状を感じたら、日頃から正しい姿勢を心がけ、適切なストレッチや運動を取り入れることが大切です。早期の対処で症状の悪化を防ぎ、再発のリスクを軽減できます。
(1) 正しい姿勢の習慣化
長時間のデスクワークや運転で坐骨神経に負担をかけないよう、以下の点を意識しましょう。
- 背筋を伸ばす: 猫背を避け、背中をまっすぐにして座ります。腰の後ろにクッションやタオルを当てると、腰の自然なカーブを保てます。
- 足の位置を調整する: 足の裏全体を床につけ、膝が腰より少し高くなるように座ります。必要に応じて踏み台を使いましょう。
(2) 予防のためのストレッチと運動
硬くなった筋肉が神経を圧迫するのを防ぐため、定期的なストレッチが有効です。
- ハムストリングストレッチ: 床に座り、片足を伸ばして体を前に倒し、もも裏を伸ばします。
- 梨状筋ストレッチ: 仰向けに寝て、片足の膝を胸に引き寄せ、お尻の筋肉を伸ばします。
- 体幹強化: プランクなどで体幹を鍛え、腰への負担を軽減します。
(3) 日常生活での注意点
- 休憩を挟む: デスクワークや長時間の運転中は、1時間に1回は立ち上がって体を動かしましょう。
- 環境を整える: 椅子やモニターの高さを調整し、自然な姿勢を保てるように工夫します。
6.鍼灸院での坐骨神経痛治療

坐骨神経痛の治療法はさまざまですが、東洋医学に基づいた鍼灸治療も有効な選択肢の一つです。鍼灸は、経絡やツボを刺激することで、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげ、神経の興奮を鎮める効果が期待できます。
(1) 鍼灸治療のメリット
- 根本原因へのアプローチ: 鍼灸師は、経絡やツボといった東洋医学独自の視点から、坐骨神経痛の原因を探り、根本的な改善を目指します。
- 血行促進と緊張緩和: 鍼灸によって、坐骨神経への圧迫や筋肉の緊張を軽減し、痛みの緩和につなげます。
- 一人ひとりに合わせた治療: 丁寧な問診と触診を行い、個々の症状や体質に合わせた最適な治療プランを提案します。
(2) 鍼灸治療の流れ
① 問診と触診: 症状や痛みの状態、既往歴などを詳しく確認し、身体の状態を
② 治療プランの作成: 症状や原因に基づき、最適な鍼や灸の種類、施術箇所、刺激量などを組み合わせた治療プログラムを組み立てます。把握します。
③ 施術とアフターケア: 施術後も、日常生活での注意点やセルフケアの方法を指導し、効果の持続をサポートします。
坐骨神経痛にお悩みでしたら、専門の鍼灸院に相談してみることをおすすめします。