坐骨神経痛の主な原因と治療の効果・効能について説
坐骨神経痛はおしりから肢にかけて現われる痛みやしびれの症状です。ピリピリとした痛みやズキズキとした痛みを感じるなど痛みの感じ方に幅がありますが、多くの場合は鍼灸で改善できます。
今回は、坐骨神経痛の原因や症状をふまえて、鍼灸の効果・効能や坐骨神経痛に効果的なツボを解説します。
坐骨神経痛とは
坐骨神経痛とは、下肢に表れる症状の総称で、おしりから肢にかけての痛みやしびれが続きます。
原因となる他の症状により、坐骨神経痛は起こります。坐骨神経痛の症状には、足のしびれから歩行の困難まで含まれており、症状の出方はそれぞれです。
坐骨神経痛の症状
坐骨神経痛の主な症状は、以下の8つです。
・おしりから下肢にかけての痛み
・長時間立つことの困難
・腰を反らすことによる下肢の痛みやしびれ
・おしりの痛みによる、座り続けることの困難
・下肢に痛みによる歩行困難
・身体をかがめることによる痛み
・尿失禁や頻尿などの排尿障害
・会陰部のしびれやほてり
坐骨神経痛は基本的には左右どちらか一方の肢に症状が出ますが、両方に出ることもあります。
坐骨神経痛の主な原因
坐骨神経痛はおしりから下肢にかけての痛みの症状です。その原因にはさまざまなものがあります。
坐骨神経痛の主な原因は主に以下の6つです。順番に解説します。
・腰部脊柱管狭窄症
・腰椎椎間板ヘルニア
・変形性関節症
・梨状筋症候群
・腰椎のねんざ
・おしりの筋肉の衰え
腰部脊柱管狭窄症
脊柱管は背骨の中にある神経の通り道のことです。トンネルのように空洞になっており、その中に脊髄と言われる神経が通っています。
腰部脊柱管狭窄症とは、脊柱管が狭くなり、その中を通過する脊髄が圧迫されることで、おしりから下肢の痛みやしびれなどが表れる症状です。
腰椎椎間板ヘルニア
人間の背骨には、構成する骨の間に椎間板と呼ばれるクッションのような役割のものがあります。
腰椎椎間板ヘルニアとは、この椎間板に負荷がかかり髄核が外に飛び出ることで、坐骨神経が刺激され、痛みが出る症状です。
変形性関節症
形性関節症とは、加齢により関節の軟骨が正常に機能しなくなる状態を指します。
軟骨は骨と骨の間のクッション材の役割を持っていますが、傷んでしまうことによって、関節を動かしたり体重をかけたりすることで下肢に痛みが生まれやすくなります。
梨状筋症候群
梨状筋症候群とは、おしりの深部にある梨状筋が、硬くなることで坐骨神経を圧迫する症状を指します。梨状筋は坐骨神経の近くに位置する筋肉であるため、坐骨神経痛に関連した症状と言えるでしょう。
発症する原因は毎日の生活や股関節の異常など原因がはっきりしている場合に加え、不明な場合もあります。
靭帯のねんざ
骨同士をつないだり、関節の動きをサポートしたり制限する靭帯のねんざによって坐骨神経痛は引き起こされます。
靭帯のねんざにより関節が不安定になって筋力が落ち、坐骨神経痛の原因になるケースがあります。
おしりの筋肉の衰え
加齢により筋肉が痩せると、クッションとして機能していた筋肉が無くなることで坐骨神経が刺激され、坐骨神経痛の症状が出ることがあります。
坐骨神経痛に対する鍼灸治療の効果・効能
坐骨神経痛はさまざまな原因によって引き起こり、症状の出方も多様です。前述したとおり多くの症状や身体の状態により起こりますが、鍼灸治療で改善できます。
鍼灸治療に期待できる効果・効能について解説していきます。
痛みを緩和する
怪我をしたときに患部を手で抑えるのは、触刺激により痛みを抑えられるからです。
ゲートコントロール理論は、触刺激により痛みを感じる経路を阻害し、痛みを和らげられるという考え方で、鍼灸治療にも応用されています。背骨の中を通る脊髄には痛みを脳に伝えるための神経が通っていますが、鍼治療の刺激によって脊髄の神経(ゲート)を閉じ、疼痛刺激を和らげることが可能です。
また、エンドルフィンやセロトニンを体内に分泌することで痛みを和らげる効果も期待できます。
血流を促進し、治癒を促す
血流の促進が期待できることも鍼治療の特徴です。身体に傷がつくことで、患部の近くの血液量が増え、酸素や栄養が多く運ばれます。
血行の促進が進むことで機能回復が進み、疲れや痛みの原因物質を排出し、坐骨神経痛の症状を和らげられます。
筋肉を緩めて、身体のバランスを整える
鍼灸治療は身体のコリや筋肉をほぐし、痛みを和らげ、バランスを整えることも可能です。鍼治療にはトリガーポイントと呼ばれる痛みの原因である筋肉を刺激し、筋肉の柔軟性を回復させる効果が期待できます。
坐骨神経痛に対して効果的なツボ
針灸治療では針で筋肉を刺激することでコリをほぐし、痛みを和らげていきます。鍼灸治療でも馴染みの坐骨神経痛に効果的なツボの一例はこちらです。
ツボの名前(読み方) |
場所 |
承扶(しょうふ) |
殿溝の真ん中。 気をつけの姿勢で真っ直ぐ立った状態のとき におしりの下にできる横ジワの真ん中。 |
委中(いちゅう) |
膝の裏側、膝を曲げたときにできる横皺の中央。 |
陽陵泉(ようりょうせん) |
膝の下の外側、前脛骨筋の外縁上。 |
太渓(たいけい) |
内くるぶしとアキレス腱の中央。 |
腰腿点(ようだいてん) |
人差し指と中指、薬指と小指の間。 |
なお、ツボを押す際に注意したいポイントは以下のとおりです。
・強すぎない力で押す
・カイロやドライヤーを使い患部を温める
・息を吐きながらツボを押す
・息を吸いながら圧を弱める
・お酒を飲んだときはツボを押さない
・患部が痛んだり腫れているときはツボを押さない
ご自身でツボを押してみて、異変を感じたときはすぐに中断しましょう。
坐骨神経痛にお悩みの方は「くにさだ鍼灸整骨院」にお越しください
坐骨神経痛はおしりから肢の痛みの症状全般を指します。原因は腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアなどさまざまですが、鍼灸治療で坐骨神経痛の痛みを改善できる可能性があります。
坐骨神経痛に対する鍼治療の効能は鎮痛、血行の改善、筋肉のリラックス、体のバランスの整備です。承扶や委中といったツボを刺激することで坐骨神経痛は症状を和らげられますので、鍼灸治療を受けてみましょう。