当院では、眼精疲労に対する鍼灸治療を行っています。休息してもなかなか改善しない眼精疲労に対して鍼灸治療は有効なので、ぜひこのブログを最後まで読んでみてください。
眼精疲労とは
眼精疲労とは、視作業を続けることにより容易に目が疲れて、視力の低下や眼痛、頭痛、肩こりなどを訴え、時には悪心・嘔吐も生じるような状態と定義されています。
普通では披露しない程度の作業でも目が疲れることや、休息してもなかなか回復しない、回復してもすぐに疲れが出るなど様々な症状を伴います。
人間の得る情報の80%以上は目から入ると言われていますが、今後さらなる情報化社会の発達とともにますます目が酷使される社会となり、眼精疲労も今まで以上に増加してくると考えられます。
眼精疲労の成因
従来、眼精疲労は調節性、筋性、症候性、全身性、神経性などに分類されていました。しかし、原因が単一ではなく複数の原因が組み合わさっていることが多いため、その発生機序について視器、全身、環境の3つの要因に分けて考えられるようになってきています。
視器の要因は、遠視や近視、乱視や不適切な眼鏡による矯正が考えられます。度の合っていないメガネは疲れが出やすいです。また目の酷使や、老化による水晶体の弾力性低下によりピント調節がうまくできない場合も疲労が出やすくなります。
全身の要因は、各種疾患に罹患することにより全身状態が不良になった場合や、過労や睡眠不足などによる体調不良が原因となります。また、うつ病や神経症、精神的ストレスが原因となることもあります。
環境の要因は、無理な姿勢や長時間にわたる細かな作業、照明、騒音、室温、換気の状態などが原因となりやすいです。近年IT化が急速に進められパソコンなどの画面を見ながら行う作業が職場だけにとどまらず、インターネットやテレビゲームの普及に伴い家庭においても増大してきており、これらの作業に伴う眼精疲労が大きな問題となっています。
一般的な眼精疲労の治療
病院での一般的な治療は点眼薬による治療です。この他では、メガネやコンタクトレンズによる矯正が行われます。
このような治療で良くならなかった眼精疲労は、鍼灸治療で改善する可能性があります。ここからは当院で行う鍼灸治療を解説していきます。
現代医学的な鍼灸治療
眼精疲労の鍼灸治療は、主症状である眼症状とそれに付随して発現する他の症状に対して行います。眼症状に対しては眼の周辺にある攅竹、太陽や後頚部の天柱、風池などのツボを使います。また頭痛、肩こりなどの付随症状に対しては、それぞれの状態に合わせてツボを選び鍼灸治療を行います。
東洋医学的な鍼灸治療
東洋医学では「目は肝の官なり」とあり、目と肝は直接関連づけられています。目は肝血の滋養が必要で、不足すると物をはっきりと見ることができなくなります。したがって、目に異常がある場合は肝から手掛けるのがよいとされています。
・肝血虚証の眼精疲労
肝には血液の貯蔵と調節作用があります。この機能が乱れ、目に栄養が行き届かなくなることで生じる目の症状が、目の疲れ、乾燥感、視力減退、目のかすみなどです。胸脇部の鈍痛や筋肉の引きつり、腱の痛みが出現することがあります。
・肝腎陰虚証の眼精疲労
長期にわたるストレスや慢性疾患、老化により肝血だけではなく腎精も不足した状態をいいます。「肝腎同源」の関係から、腎陰虚証から肝への波及や肝血虚証から腎に影響を及ぼして生じます。目の症状としては、物がはっきり見えない、目の異物感、充血などがみられます。また、身体の熱感、足腰のだるさや無力感、めまい、耳鳴りなどがみられます。
このように体の機能を回復させることで眼精疲労の症状は良くなるケースが多いため、そのための鍼灸治療を行っています。