当院ではめまいに対する治療を行っています。中々治らないめまいにお悩みの方も多いのではないでしょうか。めまいに対する鍼灸治療も効果的で改善する可能性があるので。ぜひこのブログを最後まで読んでみてください。
めまいとは
めまいとは安静時または運動時に自分の身体と周囲の空間の相互関係が乱れた時のことを言います。めまい症状は種々あり、天井や頭がぐるぐる回る、フワフワする、フラフラする、地震のように感じる、体が後ろへ吸い込まれる、目の前が暗くなり意識が遠のく、まっすぐ歩けないなど色々な症状が含まれます。
めまいの成因
大脳及び小脳は内耳の半規管からの平行感覚、視覚、深部感覚を統合し、運動姿勢を制御しています。内耳の病変により、実際の体動及び姿勢と異なる位置情報が内耳から発信されるとその信号により頭や体は動いていないのに体動時と同じような筋肉の反射が発生します。その場合前庭感覚器、視覚、深部感覚の三種類の感覚情報におけるアンバランスが生じそれを脳がめまいと自覚します。
めまいの種類
ここでは鍼灸治療の適応となる末梢性めまいについて紹介します。
末梢性めまいとは末梢前庭器官および前庭神経の障害によって引き起こされます。しばしば耳鳴、難聴、耳閉感といった蝸牛症状の随伴もみられます。めまいの起こり方は症状により異なるが中枢神経症状がなく暗所でめまい感が増強する特徴があります。また悪心、嘔吐、冷感といった自律神経症状が強くでることがあります。
・メニエール病
突発的に回転性めまい発作をきたすと同時に難聴、耳鳴、耳閉塞感などの蝸牛症状と悪心、嘔吐などの自律神経症状を伴います。一般的に特別な理由もなく発症し悪心、嘔吐を伴い、数分ないし数時間継続します。原因は内リンパ水腫によるものとされています。
・突発性難聴
突然高度の感音性難聴をきたす原因不明の疾患を突発性難聴といいます。内耳性の障害で通常は片側性で30~60代の方に好発します。耳鳴、耳閉塞感、時にめまいを伴いますが、メニエール病と異なり、難聴発作が反復して起こることはないとされます。内耳循環障害説、ウイルス感染説の2大原因説の他内リンパ水腫、内耳窓破裂、アレルギー、ストレスが原因として挙げられます。
・内耳炎
内耳における感染、炎症によって難聴、めまいをきたす疾患でこれには中耳炎、髄膜炎、ウイルス感染によるものがあります。中耳炎では特に真珠腫性中耳炎の急性悪化として突然めまい、難聴の悪化、悪心、嘔吐をきたします。また髄膜炎によるものは内耳に炎症が波及することによって生じ、高度の難聴になります。
・前庭神経炎
上気道に続発して突然末梢前庭障害をきたします。眼振と激しい回転性めまいをきたしますが、経過とともに改善します。
一般的なめまいの治療
基本的には薬物療法です。メニエール病などの場合は水腫を軽減させる目的で浸透圧利尿薬やステロイド剤などが用いられます。
この薬物療法で良くなる方もいますが、なかなか症状が改善しない場合は鍼灸治療で良くなる可能性があるので、ここからはめまいの鍼灸治療の解説をします。
現代医学的な鍼灸治療
めまい感があるとき、頸部に異常緊張が発生します。めまい患者では頸肩の緊張が増加するとめまい感が増悪すると訴えることが多いです。鍼治療ではめまいによる異常筋緊張緩和することにより並行機能を正常にする働きがあります。基本的には異常筋緊張部位の左右のバランスをとりながら緊張部位に刺鍼していきます。後頚部に反応が出やすい部分として、天柱、風池、完骨があげられます。
東洋医学的な鍼灸治療
・気血両虚
治療方針は気血を補うことを目的とします。経絡は腎経、脾経に鍼灸で補法を行い、膀胱経、胃経の気血の滞りを鍼で緩和します。気海、脾兪、胃兪、腎愈、足三里、豊隆などを使います。
・痰湿中阻
水分代謝の調整を目的とします。水分代謝は脾胃の機能と密接な関係があります。水分、関元、三陰交、太白、脾愈、胃愈、腎愈、風池、天柱などをつかいます。
・腎精不足
腎気を補うことを目的とします。腎気は脾の機能と密接に関係する為併せて脾も補うと効果があります。腎陽虚、腎陰虚に共通して使う経絡は関元、太渓、太白、などです。腎陰虚の傾向が強い時には三陰交、陰陵泉などもつかいます。
・肝火上炎
頭部に上昇している肝気を下げることを目的とします。肝経、胆経が治療の中心となります。太衝、三陰交、陽陵泉、風池、完骨、天柱、肩外愈、肩中愈などを使います。